令和7年度の大学入試から、数学が新課程対応となり出題範囲が大きく変わります。
従前との主な違いのうち、注意点をいくつかお知らせいたします。
①数Aから「整数の性質」がなくなっています。(数Aの数学と人間の活動の中で一部扱っている教科書があります)
②「場合の数・確率」に「期待値」が復活しています。
③数Aと数IIの「データの分析」「統計」に「仮説検定」が追加されています。
④数Cが復活し、「ベクトル」が数Bから数Cへ、「平面上の曲線」「複素数平面」が数IIIから数Cへと、それぞれ移行しました。
これらをふまえて、まず共通テストでの変更点・注意点は以下となります。
①従来の数IIBは数IIBCとなり、試験時間が70分に拡大されます。
②数IIBCの選択問題は(数列、統計、ベクトル、平面上の曲線と複素数平面)の中から3つの選択になります。
★過去問を中心に演習を行う場合は、「期待値」「平面上の曲線」「複素数平面」「仮説検定」などの演習が不足する恐れがあるので、別の問題集等で補っていく必要があります。
また、数IIBCにおいては設問数の増加が予想されるため、過去問中心の演習を行う際には、時間配分の感覚を養う上でも注意が必要となります。
令和7年度の共通テストの試作問題が公開されていますので、参考になさってください。
https://www.dnc.ac.jp/kyotsu/shiken_jouhou/r7/r7_kentoujoukyou/r7mondai.html
次に、各大学の個別入試についてです。
「ベクトル」や「統計」の扱いに影響が出ています。私大との併願や志望校の変更の可能性を考える場合には注意が必要です。
(例)各大学での出題範囲の発表(2024年5月時点)
◯:出題範囲に含める ✕:出題範囲外
文系でも数Cの「ベクトル」は出題範囲に含めると発表している大学が多くあります。
また、「統計」については各大学で扱いがバラバラです。
私大との併願を考えている場合や、志望校変更(上げる場合もそうでない場合も)の可能性がある場合は特に注意しておきましょう。受験する可能性のある大学については事前によく調べておく必要があります。
「数学と人間」の中で一部の教科書において扱われている整数論についてですが、この表の「数学と人間」が整数問題を出題するかどうかと関係があるかどうかは不明です。ただし、整数に関係する問題は、難関大学を受験する場合には、出題されるものと思って準備をしておくのがよいでしょう。旧課程で整数論が教科書で扱われるようになるよりもずっと以前から、整数に関する問題は、難関大学を中心に頻繁に(毎年のように)出題されてきました。今後も同様だと思います。ユークリッドの互除法など、ややテクニカルな内容の知識を前提とした問題は出題されにくいとは思いますが、合同式の考え方などは少し勉強しておくと役にたつかもしれません。