子どもの学校教育内容の基本を決める、学習指導要綱。10年に1回のペースで改訂され、小学校は2020年、中学校は2021年、高校は2022年から新しい内容で実施される予定です。新しい学習指導要綱では、何がどう変わるのでしょうか?
学習指導要綱とは?
◎学校の教育方針の基準
学習指導要綱は、文部科学省が学校教育法にもとづいて決める、小学校、中学校、高等学校の教育内容についての定めです。全国どの地域にいる子どもでも、一定水準の教育内容を同じように受けられるようにするため、国が教育内容(カリキュラム)を大まかに定め、各学校に実施させるものです。
◎「生きる力」の育成を目指す
新しい学習指導要領でも、基本的な教育方針は現行と変わりません。知識及び技能の習得と思考力、判断力、表現力等の育成のバランスを大事にする点に変更はありません。こうした基本学力の育成に加えて、さらに「生きる力」の育成を目指すために、授業時間数を増やして「主体的・対話的で深い学び」ができるようなカリキュラムにすることが謳われています。
◎新要領のポイント
新要領で上げているのは、次の6つです。
・言語能力の確実な育成
・理数教育の充実
・伝統や文化に関する教育の充実
・道徳教育の充実
・体験活動の充実
・外国語教育の充実
具体的にどのようなことが変わるのか、見ていきましょう。
新・学習指導要綱の変更点その1:言語活動が増える
◎表現能力の重視
各教科では、言語活動が重視されます。これまでは殆ど行われていなかった実験レポートの作成や、立場や根拠を示して意見交換するディベートの授業などが取り入れられます。これにより、自分の考えや意見を言葉にして書いたり話したり、分かりやすくプレゼンテーションする能力を養います。
◎統計教育の実施
理数系の授業は、すでに前要領から授業時間数が増えました。今回はさらに内容の充実を図り、統計教育の充実が行われます。たとえば、解決すべき課題が生じたときに、必要なデータを収集・分析して課題解決方法を探すといった教育が予定されています。
新・学習指導要綱の変更点その2:伝統・文化教育の実施
◎日本文化を学ぶ授業が増える
新要領では、日本の伝統文化教育の充実も重要視されています。これから海外で活躍する人材も増える中、日本人としての教養を磨くことも大切だからです。すでに地域のお祭りで行われているお囃子体験や、高齢者による伝承文化(ベーゴマなど)の伝授、文化財の見学などが行われています。今後は、年中行事について学んだり、太鼓などの和楽器や着物や和食などの勉強などが行われる予定です。
新・学習指導要綱の変更点その3:英語教育の強化
◎英語は必修科目に
これまでは他言語に親しむといった程度だった英語が、2018年から必修科目になります。高学年(5・6年生)で「外国語科」ができ、これの前倒し教育として、中学年(3・4年生)で「外国語活動」が実施されます。英語が義務教育になるということは、教科書を与えられ、定期試験が行われ、成績がつく教科になることを意味します。特に、リスニングやスピーキングといったコミュニケーション能力が重視されます。
まとめ
新学習指導要領では、子どもたちが基礎的な学力を身につけることから一歩進んで、未来社会を切り拓くための資質・能力を積極的に養おうという考えが読み取れます。ただ受け身に学ぶのではなく、自らの体験・経験をいかして自分の頭で考え、判断し、他人とうまくコミュニケーションを取りながら、将来を切り拓いていく力が重視されていくでしょう。家庭での教育も、この機会に見直してみてはいかがでしょうか。
参考:文部科学省
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/idea/1304378.htm
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/__icsFiles/afieldfile/2017/05/26/1384662_2_1.pdf