大学入試改革の4つの変更点
各大学の個別試験も変わる
大学の入学者選抜にかかわる新たなルール
大学入試の内容の変更は、大学や社会が求める人材の変化ともいえます。
今回の改革では、「学力の3要素」(「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」
「主体性を持って多様な人々と共同して学ぶ態度」)を多面的・総合的に評価するものへと変更されます。
この評価をするのが3つの入試区分です。
現在は、「一般入試」と「AO入試」と「推薦入試」の3つに分かれていますが、
この3つの入試区分のあり方を見直し、高大接続のシステム改革の趣旨を踏まえた新たなルールが構築されます。
入試の現状の課題点
今までの一般入試は、次のような課題を抱えています。
・出題科目が1~2科目に限定されている場合がある。
・記述式問題の出題を実施していない場合がある。
・英語の4技能を総合的に評価できていない場合がある。
また、AO入試や推薦入試については、「知識・技能」や「思考力・判断力・表現力」を問わない性格のものとして受け取られ、
本来の趣旨・目的に沿ったものとなっていない面があります。
一部では、事実上「学力不問」となっている場合があるとも指摘されています。
そこで、今回の改革では、3つの入試区分を次のように変更されます。
・「一般入試」 ➜ 「一般入試」(仮称)
・「AO入試」 ➜ 「総合型選抜」(仮称)
・「推薦入試」 ➜ 「学校推薦型選抜」(仮称)
そのうえで、内容についても3つの改善案が示されています。
入試の改善点①
1つ目は、筆記試験に加え、「主体性を持って多様な人々と共同して学ぶ態度」をより積極的に評価するために、
調査書や志願者本人が記載する資料等が積極的に活用されます。
資料等については、各大学によって異なりますが、
例えば、エッセイ・面接・ディベート・集団討論・プレゼンテーション・各種大会や顕彰等の記録、
総合的な学習の時間などにおける生徒の探究的な学習成果等に関する資料などが考えられます。
相手の意見を踏まえて自分の意見を伝えることが重要視されそうです。
入試の改善点②
2つ目は、記述問題の導入・充実です。
例えば、国語を中心として、複数の素材を編集するなどして、自らの考えを立論し、
さらにそれを表現するプロセスを評価できる記述式問題が導入されます。
これは、言語活動の中の、論理的な思考力・判断力・表現力等を適切に評価するためです。
また、「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」を的確に評価するために、
「総合型選抜」(仮称)や「学校推薦型選抜」(仮称)では「大学入学共通テスト(仮称)」や
「各大学が実施する評価方法」(小論文・プレゼンテーション・口頭試問・実技など)の少なくとも1つは必須化されます。
入試の改善点③
3つ目は、英語の試験です。英語の試験を課す大学は、4技能を総合的に評価する必要があります。
そこで、民間事業者が広く実施している資格・検定試験が積極的に活用されます。
例えば、英検やTOEIC,TOEFLなどが考えられます。
まとめ
このように、大学の入学者選抜は、「学力の3要素」を多面的・総合的に評価できるようへと変更されます。
変更された入学者選抜に対応するためには、高校3年間もしくは中高6年間、
ひいては小中高12年間の過ごし方が重要となってきます。
思考力や表現力は一朝一夕に身につくものではありません。
また、主体性を持って学ぶためには、将来のビジョンを持つことが必要です。
次回は、4技能評価が導入される英語についてさらに詳しく見ていきます。