子どもの学校教育内容の基本を決める「学習指導要領」は、10年に1回のペースで改訂されています。小学校は2020年、中学校は2021年、高校は2022年から新しい内容で実施される予定ですが、新しい学習指導要領では、何がどう変わるのでしょうか?今回は中学での改訂内容についてまとめてみます。
新・学習指導要綱の変更点その1:何ができるようになるか
◎「何ができるようになるか」がポイント
新学習指導要領を巡る答申では、「何を知っているか」よりも「何ができるようになるか」が大事であるとの指摘がなされました。従来型の「教える」授業ももちろん大切ですが、それに加えて、子ども・生徒の立場に立った「どのように学ぶか」という観点も重要です。そこで、新学習指導要領では、「どのように学ぶか」も授業では意識し、それにより子ども・生徒が「何ができるようになったのか」を評価できるようにすることが求められています。
◎カリキュラム・マネジメントを行う
マネジメントやPDCAサイクルというビジネス用語も、登場しています。カリキュラム・マネジメントとは、各教科間に関係性を持たせ、教科等横断的な視点で教育内容を設定・実施していこうというものです。計画的に授業を組み立てて実施し、結果を分析し、評価と改善を繰り返すというPDCAサイクルを回すことで、最終的に教育の改善につなげます。学校でも、こうした取り組みが行われるというのは画期的なことだといえます。
新・学習指導要綱の変更点その2:授業内容の変化
◎授業時間数はこれまで通り
小学校では英語の授業時間数が増えるため、全体の時間数が少し増加しますが、中学では時間数が従来通りで変更はありません。英語もすでにかなりの時間が割かれていることから、1コマ50分授業、3年間3045コマで、時間数の増減はありません。
◎道徳科の充実を図る
中学校になると子どもが思春期に入ることもあり、多くの学校でいじめの問題が出てきます。そこで、道徳の時間をもっと活用し、ルールやマナー、多様性を尊重する教育をすることが求められています。具体的には、道徳の時間は「特別の教科」として新たに位置付けて重要科目であることを明確にし、各学校が積極的な取り組みを行っていくことが期待されています。
新・学習指導要綱の変更点その3:アクティブ・ラーニングの重視
◎主体的・対話的に学ぶことが求められる
学習指導要領を巡るこれまでの議論は、「詰め込み教育」か「ゆとり教育」かというものでした。そうした議論はいまは収束を迎え、新たに重視されているのが、自ら考え解決し世の中を生き抜く力の養成です。たとえば、知識は重要ですが、現実の場面で実際に使えなければ宝の持ち腐れです。ですから、高校生までの間に、知識を応用できる力をつけさせようというのがアクティブ・ラーニングです。
◎学び方を工夫して、深く学ぶ
アクティブ・ラーニングとは、直訳すれば「能動的・主体的な学び」です。授業では、フィールドワークや自主研究にもとづき、研究発表やディスカッション、グループ討論などが行われます。従来のような講義形式の一方的な授業ではなく、自分で課題を見つけ、疑問を調べ、リサーチし、まとめる作業を通じて、一つのことを深く学ぶ姿勢を育てます。
まとめ
新学習指導要領で学んだ子どもたちが大人になる時代には、グローバル化が今よりもっと進む一方で、人口は減少していくことが予想されます。そうした時代を生きるために、どんな力を学生の間に養うべきかを考えて新学習指導要領は作られています。こうした教育が子どもの生来を明る照らすものであってほしいですね。
参考:文部科学省
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/youryou/chu/
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/1380731.htm