CEFRについて

2017-12-27 15:38

CEFRという言葉をご存知でしょうか?2020年から実施される新大学入学共通テストと関係があるこの言葉が、いま注目を集めています。今回は、このCEFRについて解説します。

言語能力を見る国際基準

CEFRとは、2001年に欧州評議会(CoE)がケンブリッジ大学英語検定機構の協力のもとに作った言語能力を測る国際基準で、日本語では「ヨーロッパ共通参照枠」と訳されます。日本ではほとんど知られていませんでしたが、NHKが語学番組で2012年から使用し始め、にわかに注目されるようになりました。

この基準では、言語の習熟度を A1、A2 、B1、B2、C1、C2の6レベルに分け、それぞれどの程度のことができるのか、目安を示しています。A(基礎レベル)→Cへ(熟練レベル)へ、1→2へランクアップします。日本の英検1級はC1にあたり、最高レベルであるC2に対応する級を設定している検定は、今のところケンブリッジ英検とIELTSだけです。

NHK語学講座では、ラジオの「実践ビジネス英語」がCEFRでC1レベルに該当し、「広範で複雑な話題を理解して、目的に合った適切な言葉を使い、論理的な主張や議論を組み立てることができる」となっています。

このような基準がヨーロッパで作られた背景には、多民族・多言語のヨーロッパ各国で言語の習熟度を統一的に測るものさしが必要だったからです。たとえば、就職の際、履歴書に「英語はCEFRで○レベル、フランス語は○レベル」と書けば、採用側に客観的な言語能力を示すことができます。CEFRは現在では、ヨーロッパだけでなく、日本やアメリカ、カナダなどでも使われる国際的な基準になっています。

大学入試との関係は?

新しい大学入試の英語に関しては、4技能(聞く・読む・話す・書く)の能力を測るため、GTECなど外部試験の活用が予定されています。検討されている外部試験は、TOEFL、TOEIC、GTEC、IELTS 、ケンブリッジ英検、英検、TEAPなどいくつかあります。TEAP(ティープ)は上智大学と日本英語検定協会が共同開発したテストで、従来の英検よりもさらに4技能をより正確に測定するために考案されたテストです。

大学に出願する際、これらの合格級やスコアを記載するのに合わせて、CEFRの段階別成績表示も記載することが検討されています。たとえば、英検1級とGTECスコア1400は、CEFRでは同じC1になります。このように各テストとCEFRの対応を決めておくことで、生徒がどのテストのスコア(級)を出しても客観的な言語レベルがわかるようになります。大学側はこうしたスコアも積極的に活用して、受験生の英語レベルを測ることになります。

学校教育のガイドラインになる可能性も

CEFRは、言語学習の到達度の目安となる基準ですから、学校教育の目標と成績評価のガイドラインでもあります。文部科学省でも、各種試験とCEFRを活用して、4技能について生徒の英語力調査結果を活用し、生徒の英語力の向上とともに、教員の指導改善を目指すとしています。教育カリキュラムを組んだり、能力別のクラス編成を行う場合に、CEFRを活用する学校が増えて今後いくことが予想されます。

もちろん、CEFRは学習する側の指標にもなります。たとえば、今B1の生徒は「仕事、学校、娯楽などで普段出会うような身近な話題について、標準的な話し方であれば、主要な点を理解できる」レベルですが、一つ上のB2になれば、「自分の専門分野の技術的な議論も含めて、抽象的な話題でも具体的な話題でも、複雑な文章の主要な内容を理解できる」ようになります。日々の勉強の目標としてCEFRを意識しておくのもよいかもしれません。

まとめ

「生きる力」の育成を目指す教育・入試改革は、「世界基準で使える英語」に力を注いでいます。学校の授業も勉強の仕方も今までとは様子が異なってくるかもしれませんが、しっかり勉強すれば世界に羽ばたくグローバル人材になれるかもしれませんね。

参考:英語力の評価及び入試における外部試験活用に関する小委員会 審議のまとめ(概要)

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/102/shiryo/attach/__icsFiles/afieldfile/2014/08/06/1350353_01.pdf

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