2021年1月から、従来のセンター試験に代わる新しい試験、大学入学共通テストが実施されます。教育改革が進む中、一体どのような試験が行われるのか不安に思う親御さんもいらっしゃるのではないかと思います。そこで今回は大学入学共通テストについて、現在の状況をお伝えします。
対象になるのは現在の高校1年生から
従来行われてきたセンター試験は、2020年1月に実施される2019年度試験で廃止されます。翌年2021年1月からはセンター試験に代わって「大学入学共通テスト」がスタートします。実施時期は変わらず、センター試験と同じように1月中旬に2日間にわたって行われます。
ですから、この新しい試験を受験する最初の学年は、2018年4月現在で高校1年生の生徒です。そして、これ以降の生徒はすべて「大学入学共通テスト」を受験することになります。もっとも、新学習指導要領が2022年度から実施されるため、2024年度以前と以降とで試験のあり方を変えることが検討されています。今のところ、2024年度以前は従来通り6教科30科目の試験が行われますが、2024年度以降は試験科目を減らす方向で検討中です。
記述式&表現力が求められる試験になる
試験が変わるといっても、具体的に何がどのように変わるのでしょうか?変更のポイントは、「思考力」や「表現力」の重視です。
たとえば、数学と国語に関しては、マークシート方式に加えて記述式問題が出題されることになっています(2024年度以降は、理科や一部の社会でも記述式の導入が検討されています)。国語は80〜120字程度の解答を要求する問題(古文・漢文を除く)が3問程度、数学も数Ⅰの範囲で3問程度の出題が予定されています。記述式問題が出題されることに伴い、試験時間も延長されます(国語は80分→100分に、数学は60分→70分になります)。
英語については、「読む・聞く・話す・書く」の4技能がまんべんなく評価されます。この変更に対応するために民間試験が活用されます。今年3月に7種類の民間試験が認定されました(英検、ケンブリッジ英語検定、GTEC、IELTS、TOEFL、TOEIC、TEAP)。
受験生は、高校3年生になった年の4~12月に、任意の試験を2回まで受験でき、試験実施団体から出願大学へ結果を送付してもらえます。このとき、結果スコアとともに、CEFRによる背段階別評価も同時に送付されます。CEFRとは、ヨーロッパ言語共通参照枠のことで、欧米で外国語の習得度を測るために広く使用されている国際基準で、6段階(A1、A2 、B1、B2、C1、C2)で語学力を評価するものです。
こうした民間試験を実際の選抜でどの程度利用するかは、各大学に委ねられています。2023年度の大学入学共通テストまでは共通テストでも英語の試験が実施されることになっており、民間試験ではなく共通テストのスコアを使用する大学も出てきます。たとえば、東京大学は今のところ民間試験は合否判定に使用しないしないとしており、共通テストおよび2次試験の成績で合否を決めると発表しています。
受験に向けて今からできることは?
こうした変更は、これまでの知識重視型の試験への反省から生まれたものです。確かに、詰め込み型の試験には問題もありますが、思考力や表現力が求められる問題は試験が難しくなるのが一般的な傾向ですから、受験生にとっては負担が重くなるといえるでしょう。英語についても民間試験を複数回受験しなければならないので、経済的・精神的に大変になると予想されます。
このような変動の中、今からできることは、希望大学がどのような選抜を行う予定なのかを調べるとともに演習を通じて記述式問題に慣れておくこと、英語に関しては学校の勉強をしっかりこなしつつ、どの民間試験にチャレンジするのか検討しておくことです。民間試験は出題形式や傾向がかなり異なっていますから、高校3年生になる前に、得意な試験を見極めておくと有利になるかもしれません。
まとめ
大学入学共通テストについては大筋は決定しているものの、今後変更される可能性があります。対象学年の方は、今後の動向をしっかりチェックしておいてください。