2021年1月から「大学入学共通テスト」が実施されます。だんだんその日が近づくに連れて、現実味を帯びた具体的な議論がなされるようになってきました。今の段階で、どのようなテストになりそうなのかについてお伝えします。
「大学入学共通テスト」の現状について
現行の大学入試センター試験に代えて行われるのが「大学入学共通テスト」です。対象となるのは、現在の高校1年生からとなります。試験が変われば対策も変わりますから、気になっている人も多いのではないでしょうか。
新しい試験についてよく言われているのが、知識力ではなく、思考力・判断力・表現力を問われる試験だということです。これが具体的にどのようなことなのかがよく分からず、高校や大学を始めとする教育現場に混乱を招いています。
新テストは高大接続など教育改革の一部であって課題が多いため、国のほうでもいまだ煮詰まりきっていないというのが現状です。有識者にヒアリングしたり、試行テストを行ったりしながら徐々に詳細を確定している最中です。
2018年も試行調査(プレテスト)が行われる
こうした中、これまでの研究成果をもとにして、いよいよ試行調査(プレテスト)が行われ始めました。2017年に引き続き、2018年11月にも試行調査が実施されることになっています。このテストがうまくいけば、そのままこのテストをベースとして、2021年1月の「大学入学共通テスト」が実施されることになるでしょう。
2018年度は、実施時期は同じであるものの、2017年度よりも規模を拡大して行われるのが特徴です。2018年度テストは10万人規模のテストになることが予定されており、記述式やマークシート式の問題等の検証だけでなく、試験運営などもテストすることになっています。
プレテストで見えてくる新テストの傾向とは?
2018年のプレテストでは、「共通テストで問いたい力を明確にした問題作成」がされることになっています。どのような問題が作成されるのか、科目別に見てみましょう。
【国語】
試験時間は100分です。現行試験の80分から20分延長されます。20~30字、40~50字、80~120字程度の記述式問題が各1問ずつ、3問出題されます。記述式の配点はマークシート問題とは別になされ、段階別評価が採用されます。小問については4段階評価、80~120字程度の記述式問題については1.5倍の重み付けをして、5段階評価がなされます。
【数学】
試験時間は70分です。現行試験の60分から10分延長されます。数式を記述したり解法を短文で説明させたりする記述式問題が3問出題されます。数学は、記述式問題とマーク式問題が混在して出されます。記述式問題に段階別評価は行われません。これが国語との違いです。マーク式問題と同じ配点方法で採点されます。
【英語】
試験時間は80分で、リスニングは45分です。リスニングについては、問題文の読み上げにつき、1回読みと2回読みが混在する構成となる予定です。筆記(リーディング)とリスニングの配点は均等になされます。4技能については民間試験の活用もあり、試行調査ではリーディング(読む力)に重点を置き、発音、アクセント、語句整序などは出題されない予定です。
【理科】
試験時間は60分です。各教科とも「課題の解決に向けて主体的に考察・推論する」力を見る問題がメインです。仮説の検証なども含まれます。
【社会】
試験時間は60分です。資料や統計を活用しながら「多面的・多角的に考察する過程を重視」した問題が出題されます。
※参考
【大学入試センター】「大学入学共通テスト」における問題作成の方向性等と本年11月に実施する試行調査(プレテスト)の趣旨について
https://www.benesse.jp/kyouiku/201807/20180711-2.html
【大学入試センター】平成29・30年度試行調査(プレテスト)
http://www.dnc.ac.jp/sp/corporation/daigakunyugakukibousyagakuryokuhyoka_test/pre-test.html
今年のプレテストの結果に注目
2年にわたるプレテストは、そのまま2021年1月の「大学入学共通テスト」に直結してきます。今年のプレテストでどのような問題が出題されるのか、その成果を国がどう判断したのかは、本番の試験に影響を与えるものです。しっかりチェックしておくことをおすすめします。