授業料免除のしくみ〜⾼校学費編〜 と現状

2018-08-10 17:00

高校無償化、という言葉を聞くけれども良く分からない。自分の子供は該当するの?と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。今回は、日本の高校無償化のしくみと旧制度から新制度に移行後の現状についてご紹介します。

高校無償化のしくみとは

子供の教育費の中でも大学受験後の大学学費に次いで高いのが、高校の学費です。義務教育ではない高校受験は公立だけでなく私立も選択肢に入るため、学費も高くなりがち。家庭の経済状況によっては進学を諦めなければいけない生徒や家庭の救済を目的に作られたのが「高校の授業無償化」です。

高校無償化は平成22年4月より公立高校の授業無償化がスタートしましたが、その後平成26年4月より家庭の所得に応じて補助金が支給されるシステムに変わりました。旧制度と新制度の違いを見てみましょう。

・旧公立高校授業無償化

平成22~25年度まで施行、公立高校に入学した生徒は一律で授業料が無料

・新制度高等学校等就学支援金

平成26年度より、公立高校だけでなく私立高校も対象。市町村民税所得割額が30万4200円(年収910万円程度)未満の世帯に「高等学校等就学支援金」が支給される。支給されるのは国立の高校で月額9600円、全日制の高校で月額9900円、定時制の公立高校で月額2700円、通信制の公立高校で月額520円、私立の定時制・通信制は月額9900円。

現在施行されている高校無償化は、新制度の「高等学校等就学支援金」となります。さらに、高等学校等私学支援金は国から助成されますが、保護者が受け取るのではなく学校に支給され、学費に反映されます。

なぜ旧制度から新制度になったのか

旧制度から新制度に移行した背景には、ふたつの理由があります。

・学費が高額になりがちな私立高校への助成がない
・家庭の所得が少なく、経済的な理由で高校進学をあきらめざるを得ない世帯への救済

新制度は、公立だけでなく私立高校も対象、かつ世帯所得によって助成金の有無が決まるようになりました。

高校無償化新制度移行後、現状は?

平成26年に新制度に移行となった高校無償化ですが、3年経過した現状を見てみましょう。

・経済的な理由による中退が減少

高校無償化旧制度がスタートした平成22年より、生活保護受給世帯の高校進学率は前年度87.5%から翌年89.5%に上昇、全世帯との差は10.5ポイントから8.7ポイントに縮小しました。その後新制度移行後は平成26年度が8.2ポイント差の90.2%、27年度が6.9ポイント差の91.6%となり、経済的な理由から高校進学を断念した生徒数が減少しています。

経済的理由によって高校を中退した生徒も平成21年度は全生徒の2.9%に当たる1,647人(うち私立840人)に対し、翌平成22年度は1.9%に当たる1,043人(私立521人)になりました。新制度移行後の平成26年度は1.3%に当たる553人(私立309人)などと減っていき、平成27年度は1.2%に当たる487人(私立292人)と、年々中退者も減る傾向になっています。

・私立高校への進学率上昇

平成22年度の全高校生徒数の中で、私立高校の占める割合は31.0%でしたが、その後は少しずつ伸びていきます。新制度が導入され、私立高校も助成金の対象となった平成26年度は33.3%と3人に1人が私立高校に進学した割合になりました。

・今後の課題

新制度に移行してから、メリットもある反面デメリットも明確になってきています。例えば、私立高校も新制度になってから助成金の対象となりましたが、私立高校の授業料には地域差や学校差が多いため、国で一律の助成金ではまかないきれないことがあります。

さらに、所得制限による助成金制度のため、助成の対象とならない高所得世帯からの不満感が大きいのも見逃せません。経済的な理由で高校進学をあきらめざるを得ない層への助成と同時に、高所得世帯への不平感のない対策も求められています。

まとめ

高校無償化の仕組みと現状について紹介しました。少子高齢化となっている理由のひとつに、教育費の高さがあります。経済的な理由なく、誰でも必要な教育が受けられる仕組みづくりが求められています。

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