中学受験、高校受験、さらに大学受験まで重要な値となる「偏差値」。志望校選択や合格の可能性を探る上でも頻繁に登場する値です。ところが、学習塾や進学塾、学校で何となく耳にする「偏差値」はそもそも何の値なのか分からない、という人も少なくありません。ここでは、いまさら聞けない偏差値とはどんな値か、合格偏差値との違いも合わせて紹介します。
偏差値とは「集団」を基準にして出した値
偏差値というと、受験シーンにおいて重要な値を示した数値である、というイメージを持つ人も多いですが、元々は統計学上の用語です。そして、偏差値とは「集団」を基準にして、自分がどのくらいの位置にいるかを表した値になります。
例えば、テストの点数が「80点」だったとします。100点満点のテストで80点の場合、客観的に見れば良い点数だと感じられますが、実際に「80点」の結果が良かったか悪かったかは「テストの難易度」によって異なります。
テストを受けた人のほとんどが100点満点または90点台なら…
簡単なテスト=80点は悪い結果
テストの平均点が50点なら…
難しいテスト=80点は良い結果
テストの難易度や、ほかの人がどのくらいの点数を取ったかによって同じ数値でも評価が変わってしまいます。ほかの人がどのくらいの点数を取ったかの範囲を値にした「標準偏差」を利用して、集団の平均値を基準に自分はどのくらいの位置にいるのかを表した数値が「偏差値」となり、テストの結果などから学力に関する偏差値を算出したものを「学力偏差値」と呼びます。
偏差値はどうやって出す?
偏差値を求めるには下記の公式を利用します。
(※なお標準偏差は各データの値と平均の差の2乗の合計÷データの総数 nの値の正の平方根で算出します)
分の点数 – 平均点
__________________ ×10+50
標準偏差
例:平均点が50点、標準偏差が15のテストで80点を取った場合の偏差値
80-50
_______ ×10+50=66.67
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偏差値のみに頼るのは危険、子供の希望や適性で志望校を選ぼう
学習偏差値は子供が集団の中でどの位置にいるかが分かる数値として、教育の場から受験シーンまで多用されてきました。また、受験案内には「○○高校偏差値50」など、合格するのに必要な偏差値である「合格予想偏差値」が記載されていることもあります。ところが、近年では偏差値をめぐる考え方や捉え方が変化してきました。
中学生の高校進学率の向上によって高校受験が一般的になったこと、さらに小学生が公立中学ではなく国立付属や私立の中学の受験を行う小学校受験も増加したことから、1970年代より児童や生徒を偏差値にあてはめて振り分けるような進路指導法が増えてきました。「輪切り」とも呼ばれた偏差値による振り分け進路決定は批判を呼び、現在では、偏差値ごとで進路先を振り分けるような指導法はなくなりました。
さらに、「合格予想偏差値」が学校の学力を測るような数値として見られてしまいますが、実際の指導方法や選べる進路、設けているクラス編成など内面の部分は偏差値だけでは測れません。よって、「子供の偏差値は55だからこの学校」といった選び方は大変危険です。偏差値はあくまで合格の目安として考え、大切な子供の適性や希望進路に合わせた志望校選びが重要といえます。
まとめ
偏差値の概要や公式による算出の仕方、近年の教育現場における偏差値の考え方を紹介しました。集団でどのくらいの位置にいるかを把握できる偏差値はとても便利な値ですが、偏差値が子供の学力全てを表しているわけではありません。点数だけでない要素も考えて、子供の将来につながる志望校選びをしましょう。