中3受験生の睡眠、7割以上が7時間未満…「睡眠を削る勉強」は得なのか?

2026-11-07 12:00

受験生の睡眠が、いま注目されています。2026年10月26日に発表された民間の調査で、中学3年生・高校3年生の約75%が、平日は7時間未満しか眠れていないことがわかりました。厚生労働省が示す中高生の目安は、8〜10時間です。結論から言うと、睡眠は削る時間ではなく、勉強の成果を身につける時間です。

受験生の睡眠は、どのくらい足りていませんか?

まず、受験生の睡眠を調べた調査は、快眠ランド(ムーンムーン)が、中3・高3の保護者181人に行いました。その結果、平日の睡眠時間が7時間未満の人は74.6%で、厚労省の目安(8〜10時間)以上は4.4%にとどまります。

受験生の睡眠時間(平日)の割合のグラフ。7時間未満が74.6%、8時間以上は4.4%

一方、睡眠が短くなる理由は、「塾や予備校からの帰宅が遅い」と「スマホやSNS」が、どちらも19.5%で最多でした。また、日中の様子では「朝なかなか起きられない」が22.4%で、1位です。

受験生の睡眠が短くなる理由と、日中の様子のグラフ(スマホ・SNS 19.5%、朝起きられない 22.4%)

ただし、人数が少ない民間調査のため、あくまで目安として見てください。

受験生の睡眠時間は、学年が上がるほど短くなりますか?

はい、短くなります。ベネッセ教育総合研究所と早稲田大学の調査(2021年、小4〜高3の9,270人)では、平日の睡眠時間が、小4の8.5時間から高3の6.6時間まで、学年とともに減っていました。

学年別の平日の平均睡眠時間と、厚生労働省の目安を比べたグラフ。受験生の睡眠は中3で7.3時間、高3で6.6時間

どの学年も、厚労省の目安を下回っています。なお、この報告書によると、OECDの調査で日本は睡眠時間が世界で最も短く、15〜65歳の平均は7時間22分です。

受験生の睡眠中、脳では何が起きていますか?

では、睡眠中の脳は何をしているのでしょうか。国立精神・神経医療研究センターの解説によると、昼間の学習で活動した脳の部位は、夜の睡眠中に再び活動します。この「再生」によって、記憶が海馬(一時的な保管庫)から大脳皮質(長期の保管庫)へ移されます。

眠っている間に記憶が定着するしくみの図。昼に学び、夜の睡眠中に脳が再生し、長期の記憶になる

特に、単語や知識の記憶には、ノンレム睡眠(深い眠り)が関わるとされています。つまり、覚えた日の夜に眠ることは、暗記の仕上げの作業です。

成績が良い子は、長く眠っているのですか?

実は、そうとは限りません。先ほどの調査では、平日の睡眠時間は、成績の下位・中位・上位でほぼ同じでした(中学生7.5時間、高校生6.7時間)。また、平日に寝る時刻の差も、高校生で約12分と、わずかです。

ところが、大きく違ったのは「規則性」です。「同じ時間に寝て、同じ時間に起きる」にあてはまる子は、成績が上位ほど多くなっていました。

成績の層別に見た、同じ時間に寝て起きる子の割合のグラフ。中学生は下位61%、上位78%、高校生は下位56%、上位75%

国の調査でも、寝る時刻と成績は関係していますか?

はい、同じ傾向があります。2013年度の全国学力・学習状況調査(小学6年生)では、毎日同じくらいの時刻に寝ている子ほど、平均正答率が高くなっていました。

小学6年生の平均正答率のグラフ。毎日同じくらいの時刻に寝ている子は算数Aが78.4%、全くしていない子は61.2%

たとえば、算数Aは78.4%と61.2%で、約17ポイントの差です。つまり、成績と結びついているのは、睡眠の長さや早さそのものより、毎日同じ時刻に寝起きするリズムでした。ただし、これは関連であって、原因とは限りません。

寝る前のスマホは、受験生の睡眠にどう影響しますか?

次に、博報堂教育財団こども研究所の調査(2025年)では、寝るときにスマホやゲーム機を布団に持ち込む子が、小学生の31.0%、中学生の55.7%でした。睡眠時間が短い層は、持ち込む割合が10ポイント以上高い傾向です。

寝るときに布団へスマホを持ち込む割合(小学生31.0%、中学生55.7%)と、中学生が布団の中でしていることのグラフ

そして、厚労省の睡眠ガイドも、思春期は睡眠のリズムが後ろにずれて、夜更かしになりやすいと説明しています。そのうえで、デジタル機器は寝室に持ち込まず、別の部屋に置くよう勧めています。

東セミでは、睡眠をどう伝えていますか?

東セミの親子勉強会でも、講師は「記憶は寝ている間に定着するので、ちゃんと寝てください」とお伝えしています。また、宿題が終わっていなくても、寝る時間を変えないことの方が重要とも伝えています。睡眠を削らずに成果を出す勉強のやり方は、「5つの勉強レベル」の記事でご紹介しています。

出典
・快眠ランド(ムーンムーン)受験生の睡眠調査
・ベネッセ・早稲田大「子どもの生活リズムと健康・学習習慣に関する調査2021」
・博報堂教育財団こども研究所「子どもの睡眠調査」
・文部科学省「全国学力・学習状況調査」平成25年度(検討委員会資料)
・厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」
・国立精神・神経医療研究センター「睡眠と記憶に関する近年の知見」

 

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