新しい高校の学習指導要領が2018年3月に告示されました。刻々と変わる教育に不安を覚えているご家庭も多いのではないでしょうか。そこで、前回の記事から変わったことや最新情報などをお届けします。
今の小学校6年生から高校の授業が変わる
新学習指導要領が実施されるのは、2022年度の高校入学生、つまり2018年に小学校6年生からです。2021年から実施予定の、今年高校1年生になる生徒が受験する大学入学共通テストも、これに合わせて見直されることになります。これから中学生・高校生になる学年の生徒は学校教育や受験制度の大きな変革期にあるため、学習の見直しが必要になるかもしれません。
英語は4技能重視、コミュニケーション能力を育てる
英語は4領域(聞く・読む・話す・書く)重視することが改めて強調されました。英語に関しては、2018年3月に、英語の4技能(聞く・話す・読む・書く)を測れることを基準に、GTEC CBT、TOEFL、TOEIC L&Rなどの試験がに大学受験に採用される外部検定試験として認定されました。これらの試験のスコアを持っていれば、受験の際に加点されたり、英語の試験が免除になったりします。採用するかどうか、どの程度優遇するかは大学の自由ですが、現在でもすでに多くの大学が活用しています。
外部試験を採用することになった背景には、特に「話す」能力を的確に測る試験が作りにくいという理由があります、そして、さらにその奥には、コミュニケーション能力を育てたいという意図があります。
たとえば、4領域をバランスよく育てるために「英語コミュニケーションⅠ、Ⅱ、Ⅲ」を設け、発信力の強化に特化した「論理・表現Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ」という科目が新設されます。現行では「コミュニケーション英語」となっている科目を「英語コミュニケーション」とし、「英語表現」や「英語会話」は「論理・表現」という科目に変更されます。
これは、国語について「主張と論拠の関係や推論の仕方など、情報を的確に理解し効果的に表現する力の育成」や「自らの考えを表現して議論する」といった言語活動の充実を図るということとパラレルな教育内容だといえるでしょう。英語学習がもはや当たり前になった世代では、英語を単に外国語として学ぶだけでなく、一歩進んで日常的なコミュニケーションツールとして使えるようになることが求められているのです。
国際標準の英語力でグローバル化に対応する
英語に関しては国際基準を意識した変更がなされています。たとえば、4領域のうち「話す」に関しては、「話すこと(やり取り)」「話すこと(発表)」となり、4領域が実質的に5領域に分けられています。これは小学校・中学校・高校で共通した変更点ですが、CEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)を意識した変更です。
CEFRは、国境を越えて進学や就職をすることが多いヨーロッパで外国語能力を測るものさしとして機能しているもので、「どのくらいその言語でコミュニケーションが取れるか」を6段階で評価します。日常会話のやりとりができるレベルから自分の意見を述べることができるレベルまでを設定して、その言語の習熟度を示すことができる基準です。外部検定試験として採用が決まったGTECもCEFRに基づく評価をする試験であり、日本でも海外基準で英語力を測る時代がいよいよ到来したといえます。
今の中学生・高校生は、小さい頃から英語を習う子どもも多い世代。高校卒業後に日本の大学に進学せず、最初から海外の大学に入学する生徒も増えてきています。こうしたトレンドの中で、教育現場も海外基準を意識した教育を行って、グローバルな人材を育てることが期待されているのだといえるでしょう。
まとめ
教育現場は今、大きく動いています。いろいろな変更があって、子どもを持つ親としては不安になることもあるかもしれませんが、新しい情報を常にキャッチして、日々の勉強や受験に役立ててください。